自宅の老朽化や中古物件の購入など、リノベーションを検討する中で「耐震性」が気になるという方も多いのではないでしょうか。実際に築年数が経過している住宅では、耐震性が十分ではないことも少なくありません。
今回はリノベーションの際に考えたい耐震対策について解説します。
■耐震基準とは?
耐震性を考える目安に「耐震基準」があります。現在の新耐震基準は1981年に施行されたものです。それまでの旧耐震基準は、震度5強程度の中規模地震で建物が倒壊しないように設定されていて、それ以上の震度に対する規定はありませんでした。
新耐震基準では、震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊しないよう設定されています。そのため、1981年よりも前に建てられた物件は、耐震性能が低い可能性があります。
■リノベーションでできる耐震対策
リノベーションを行う理由はさまざまですが、壁や天井などを取り除くことが多いため、通常では見えない内側の部分を確認でき、耐震対策を行う良い機会となります。有効な耐震対策として次のようなことが考えられます。
・耐震診断を受ける
まずは現在の住宅の状況を把握するために、耐震診断を受けると良いでしょう。専門知識を持つ診断士がいろいろな機械で測定したり、目視で調査を行います。その調査をもとに必要な耐震対策を行うことができ、リノベーション計画を立てるうえでもとても役立ちます。
耐震診断の依頼先は、各自治体の相談窓口や近くの建築会社などを調べてみましょう。
・壁の補強
柱と柱の間に筋交いを入れたり、構造用合板などを用いて壁の強度を高めます。このような耐力壁をバランスよく配置することで、地震に耐える力を保持することができます。
・金具の設置
最近は、耐震補強を目的としたさまざまな種類の金具があります。
耐震金具は、地震で建物が大きく揺れても、建材の接合部分が緩んだり抜けたりすることがないように金具で固定し補強します。比較的施工がしやすく、低コストながらとても効果的な耐震対策です。
・劣化部分の補修
リノベーションの際に、経年による劣化や腐食が見つかることもあります。そのままでは耐震だけでなく家の老朽化も早めてしまうので、必ず補修を行いましょう。
日本は地震の多い国であり、いつどこで大きな地震が起こるかわかりません。リノベーションの際に耐震対策を行うことで、より安心して暮らせるでしょう。
マンションの場合は共有部分である構造(躯体)の耐震性を高めることは難しいですが、家具を固定したり造り付け収納で補強するなど、個人でできることもあります。リノベーションで、家族が安全に暮らせる環境を目指しましょう。